流通・小売業界の第二弾としてドラッグストア業界を取り上げる。

我が国のドラッグストア業界の市場規模は6兆8,504億円(日本チェーンドラッグストア協会)であり、百貨店の市場規模(6兆円ほど)を上回る。ドラッグストア市場は拡大傾向が続いており、直近の2年間は5%を超える伸びを記録している。

ドラッグストアでは、医薬品や化粧品、健康食品、日用品などを中心に取り扱っているが、最近では弁当や総菜など食品を提供する店舗に加え、酒類、お菓子、加工食品などを揃える店も増えている。また調剤(医師からの処方箋で医療用の医薬品を提供する)を併設する店舗も拡大傾向にある。

ドラッグストアのビジネスモデルは低価格の食品や日用品(粗利益率10~20%)で集客し、利益率の高い医薬品や調剤、化粧品(同30~40%)で儲けるというものである。近年は上述のように食品などへの進出でスーパーやコンビニとの業界の垣根が崩れつつある。

ドラッグストア大手には、ツルハHD、サンドラッグ、マツモトキヨシHD、ウエルシアHD、スギHD、コスモス薬品、ココカラファイン、クスリのアオキHDなどがある。業績は概ね好調であり、2018年度の営業利益は最大手のウエルシアHDなど大半の企業で連続最高益を更新する見込みである。

ここで主要各社の特色を挙げてみよう。マツモトキヨシHDは都市型店舗が多くインバウンドの外国人観光客向けに化粧品の売り上げを伸ばしている。ちなみに、同社の化粧品は売上高の4割を占め、前年比2桁の伸びが続いている。一方、ツルハHDはもともと北海道地盤だが、関東の「くすりの福太郎」や四国の「レディ薬局」などを買収して全国展開を進めている。また九州地盤なのがコスモス薬品で、現在は東に店舗を拡大させており、愛知県まで進出している。関東地区への出店もそう遠くない日に実現するだろう。なおコスモス薬品は食品が売上高の5割を超えているところに特色がある。

ウエルシアHDは持ち株会社になる前はウエルシア関東という関東中心のドラッグストアだったが、2015年2月にイオン系のCFSコーポレーションと経営統合し、業界トップに浮上した。筆者は2008年頃のアナリスト時代にウエルシア関東の決算説明会で創業者鈴木孝之氏(当時社長、故人)の話を聞いたことがある。その時に鈴木氏は、「調剤は儲かる。今後24時間調剤に一段と注力する」と強調されていた。その後病魔に倒れ、病床でイオンの岡田元也社長に後を託したという。ウエルシア関東の戦略はウエルシアHDになっても引き継がれており、同社は24時間調剤に力を入れている。

ドラッグストア業界各社は出店攻勢をかけており、2018年度の店舗数の増加率は前年度比7%増となる見込みで、同2%のコンビニエンスストアを上回る(2018年10月14日付日本経済新聞)。筆者はドラッグストア業界が内需産業であるため、人口減少という中長期のマイナス要因は受けるものの、境界ビジネスの取り込みや調剤の拡大などで、今後も成長を持続すると考えている。そうしたなかでM&Aや合併など業界の再編統合は続くと予想する。

ドラッグストア業界の求人も旺盛な新規出店を背景にして堅調な推移が続くだろう。募集職種としては、調剤部門では薬剤師となるが、薬剤師の資格がなくても店舗運営スタッフとして採用される。入社すれば、一般用医薬品の約90%の販売に携わることのできる「登録販売者」の資格取得が義務付けられる。このため、在学時に「登録販売者」の資格を取っておけば、間違いなく就職に有利に働くだろう。大学によっては、「登録販売者」の資格を取得すれば資格取得奨励金が出るところもある。ドラッグストア業界の就職希望者はぜひ「登録販売者」資格取得にチャレンジして欲しい。

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本ブログの業界分析はまず流通・小売業界から始めたい。初回に取り上げるのは、コンビニエンスストア業界(以下、コンビニ業界)である。

我が国のコンビニ業界は1974年(昭和49年)にセブンイレブンが東京江東区の豊洲店に1号店をオープンしてから最近まで拡大を続けてきた。国内市場規模は11兆4,813億円(2017年度、前年度比2.6%増、日経MJ)である。小売業では最大の業界である。2018年の時点で、この業界はセブンイレブン、ファミリーマート、ローソンでマーケットシェア9割を占める寡占状態にある。店舗数ではセブンイレブンが20260店、ファミリーマートが17232店、ローソンが13992店で、大手3社合計では51484店舗になる。

この3社のなかではセブンイレブンが頭一つ抜けた存在であり、店舗数もさることながら全店平均日版(店舗1日の売上高)で65.3万円とファミリーマートの52.0万円、ローソンの53.6万円に対して10万円以上の差をつけている。セブンイレブンが全店平均日版で競合2社に差をつけている点については、いくつかの理由が挙げられる。ただ本ブログでは取り上げない。セブンイレブンの強さの秘密については、「売る力」鈴木敏文(2013)文春新書 などが参考になるだろう。セブンイレブンのみならずコンビニ業界を目指す学生諸君にはぜひ読んで欲しい一冊である。

ただ、これまで一貫して成長を続けてきたコンビニ業界もここにきてやや陰りが見えてきた。それは2017年度の既存店売上高がセブンイレブン以外はマイナスとなり、またそのセブンイレブンでさえも客数では前年比‐0.9%とマイナスに転じたことである。大手3社で5万1484店、その他のコンビニ、例えばミニストップやセイコーマートを加えれば、我が国全体のコンビニ店舗数は5万5千店といわれる。コンビニ業界は飽和状態で今後の成長は期待できないのだろうか?

実は、コンビニ業界はアナリストなど識者の間で何度も飽和論あるいは成長限界論が議論された経緯がある。コンビニ業界はそのたびごとに顧客の潜在ニーズを取り込んで新たな市場を作り出してきた、具体的には、公共料金の収納代行(1987年)やチケット発券(1996年)、ATM(1999年)、コンビニ銀行(2001年)、いれたてコーヒー(2013年)などである。

こうしたコンビニ業界の過去の実績を踏まえ、この先も「高齢者向けの商品を充実させるなど、消費者のニーズの変化に対応できれば成長できる余地は十分にある」(日本経済新聞夕刊、2018年11月12日、ニッキィの大疑問 コンビニ 成長続くの?)といった比較的強気の見方が多くみられる。筆者のコンビニ業界に対する現時点での見解は次の通りである。国内市場については新サービスの開発提供であと4~5年ほどはまだ成長余地があるものの、その後はピークを迎え、国内市場は成長期から成熟期に移行するのではないかと考えている。

しかしながら、眼を海外に転じればコンビニ業界の成長余地は大きいと考える。2017年度末でセブンイレブンは米国を中心に、タイ、台湾などで44340店、ファミリーマートは中国、台湾などで6849店、ローソンは中国、フィリピンなどで1596店を出店している。とくに、ローソンは三菱商事から50.2%の出資を受けて子会社になっており、また2018年8月には伊藤忠商事がユニー・ファミリーマートホールディングス(ファミリーマートの100%親会社)のTOB(株式公開買い付け)を終了し、出資比率50.1%で子会社とした。コンビニ各社が次々と商社の傘下に入っているのは、この先の海外本格展開を見据えた動きと言えよう。10年後には「セブンイレブンとローソンがアジアで激突」という文字が新聞の見出しになる可能性は十分にあるだろう。

最後にコンビニ業界のキャリア採用の募集職種について触れておこう。コンビニの店舗は基本的にFC店舗である。このため、セブンイレブンやローソン、ファミリーマートに採用された場合、店舗に配属されてレジや商品発注を行うことはない。コンビニでの主な募集職種はスーパーバイザー(SV)、店舗開発、IT(情報システム)、本社(広報IR、経理、財務、人事、海外など)である。

とくにコンビニにおいては、SVは重要な職種であり、通常7~8店舗の担当となる。SVは店舗のオーナーに対し経営を上向かせるための情報を提供し、コンサルティングを行っている。地域の店舗情報から売れ筋商品の発注をアドバイスしたりもする。コンビニ経営者にとっては、頼りになる存在である。

ちなみにローソンのキャリア採用サイトにSVの仕事について説明してあるので紹介したい。

----的確なコンサルティングで、マチの健康ステーションを発展させよう----
地元に愛され、お客さまに通いつづけていただけるお店をつくる。これがSVの仕事のすべてです。決められたやり方やルーチンワークはありません。加盟店オーナーさんと課題を共有しながら、売り上げ・利益を伸ばす改善アイデアを提供する、とても自由度の高い職種です。まさにフランチャイズビジネスを展開するローソンの大黒柱。そのため、他部署の情報やマチのニーズといったノウハウすべてがSVに集約されます

コンビニに入社するとSVとして、若いうちからある程度責任のある仕事を任されることになろう。さらに今後は大手各社が海外展開に一段と注力するとなれば、アジアを中心とした海外人材に対するニーズも増えることが確実と思われる。国内でSVを経験し、その後は海外で活躍するのもいいだろう。就活生の皆さんにはぜひコンビニ業界にチャレンジして欲しい。

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自分の興味や関心のある業界を研究するには、情報収集が不可欠である。ただ就活生の皆さんは、業界の情報収集が必要と言われても戸惑われる方も多いと思う。そこで、以下では私の証券アナリスト、あるいはキャリア教育を実践するキャリアサポートセンター長としての経験を踏まえ、業界情報収集のやり方を紹介する。

まず業界情報といえば、就活生の皆さんになじみがあるのは大手就職支援会社が出している「業界&職種研究ガイド」(マイナビ出版)や「業界MAP」(ディスコ キャリタス就活事務局)などであろう。とくにマイナビの「業界&職種研究ガイド」は幅広く業界の基礎知識や業界構造、主な募集職種を解説しており、業界研究の入門書としてお薦めしたい。

就活生の皆さんは、最初に「私はどうしても金融業界」などと決めつけずに、このような入門書を読んで、世の中に多くの業界があることを知って欲しい。色々な業界を知るうちに、視野が拡大し、「この業界もおもしろそうだな」と考えが変わっていくかもしれないからである。

ただし業界研究は入門書だけでは物足りない。自分の一生を託すことになるかもしれない業界である。関心を持った業界はとことん深掘りして欲しい。業界の基本知識はもちろん、現況や将来の方向性などまである程度掴んでおかなければ、企業での面接等に対応するのは難しいだろう。具体的な業界深掘りのやり方として、私は以下の方法を皆さんに推奨したい。

【新聞・専門紙】
業界や主要企業の動きをチェックするには「日本経済新聞」(日経新聞)が最適と思われる。大学3年時から読み始めても間に合うが、日経新聞はビジネスマンを対象にしているだけに、読みこなすには慣れが必要である。このため、できれば大学2年から読み始めることを推奨する。
私はこれまで何回か日経新聞記者の取材を受けたことがある。その時に記者から聞いた話だが、同紙の企業報道部はビール業界担当だけで二人の記者がいるという。それほど各業界を手厚くフォローしていると言えよう。最初は理解に苦しむことがあっても1~2年程度にわたって日経新聞を読み続ければ、世界や日本経済の動きはもちろん、主要産業の動向や企業業績などが頭に入ってくるだろう。

もし、自分の就職したい業界がほぼ固まっているという場合は業界紙にチャレンジして欲しい。例えば、将来百貨店のバイヤーをやりたい、あるいはコンビニエンスストア大手に入社してスーパーバイザーになりたいというように小売・流通業界を目指している皆さんには「日経MJ」、証券・銀行など金融の世界が念頭にある場合は「日経ヴェリタス」を読んで専門知識を深めて欲しいと思う。
また業界全般では「日経産業新聞」、「日刊工業新聞」、「フジサンケイ ビジネスアイ」などがある。主要な業界紙は大学の図書館で読めることもあるので、一度チェックしてみてはいかがだろうか。

【雑誌】
代表的な経済誌では、「週刊ダイヤモンド」、「週刊東洋経済」、「エコノミスト」、「日経ビジネス」などが業界の動きを知る上でとても参考になる。これらの経済誌は大学の図書館で閲覧できる。必ずしも毎週これらを読む必要はないと思われるが、自分の気になる業界や企業の記事が特集された場合はできるだけ読んでおくようにしよう。

【書籍】
日本経済新聞の記者が執筆している「日経 業界地図」と東洋経済新報社の記者が執筆している「会社四季報 業界地図」が双璧だろう。どちらも多くの業界を網羅しているほか、今後の業界の動向にもコメントしており、就活の業界研究には参考になるだろう。また業界マップがイラストで掲載されているので、業界を構成する企業やそれぞれの位置が一目でわかる。自分の関心がある業界のみを図書館でコピーするのもよいが、一冊購入して幅広く業界研究を行うため手元に置いておくと役に立つだろう。
以下では、業界研究に関連する3冊の推奨本を挙げておく。

(1)「10年後の仕事図鑑」堀江貴文、落合陽一(2018)SB Creative
(2)「投資テーマ別成長業界&企業」大和証券投資情報部(2017)日本経済新聞出版社
(3)「業界分析ハンドブック」みずほ証券エクイティ調査部(2017)東洋経済新報社

とくに(1)の「10年後の仕事図鑑」は就活を始めようという学生の皆さんには是非とも読んで欲しい一冊である。同書を読めば、もしかすると皆さんの就職に対する考え方が変化するかもしれないことを一言付け加えておく。
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ご挨拶


皆様、日本経済大学東京渋谷キャンパス教授でキャリアサポートセンター長の西村尚純です。ご好評をいただいていた私のブログ「就職は俺に任せろ」はしばらく休載をしておりましたが、復刊いたします。読者の皆様には大変お待たせいたしましたが、今後も就活生の皆様を中心に、企業の人事担当者、人材関連企業関係者の皆様に向けてもお役に立つ情報を継続的に発信していく所存です。ご愛読のほど、何卒宜しくお願いいたします。


新たに始めるシリーズでは「業界を知る」というテーマで、業界研究を行ってみる。現代の日本にどのような業界があるかを調べていくことにしたい。業界とは同じビジネス領域で活動している企業の集まりとして捉えたものである。就活においては、企業研究と並び業界研究はとても重要な作業となる。業界の概要や動向を知ることで、個別企業についても理解が進むからである。


産業構造は日々急速に変化している。業界単位での歴史を振り返ると、これまで大きな主役の交代があった。さらに近年はITやスマートフォン、クラウドコンピューティングなどの技術の進歩がほぼすべての業界の将来に影響していると言えるだろう。


では世の中には、どのような業界が存在するのだろうか。まず業界は大きく二つに区分される、モノを作る業界(製造業)とモノを動かす業界(非製造業)である。


製造業には、自動車・輸送機器、電気機器、電子部品、機械、食料品、鉄鋼、医薬品、化粧品、化学、石油、繊維、紙パルプ、プラントエンジニアリング、住宅、土木・建設、などの業界がある。


一方、非製造業はさらに四つの区分で分類できる。(1)お金やモノを動かす業界...銀行、証券、保険、商社(2)モノを売る業界(小売業界)...百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、専門店(3)サービスを提供する業界...不動産、交通、運輸、外食、ホテル、旅行、人材サービス、教育、医療・福祉、警備(4)情報を発信する業界...新聞・テレビ、ソフトウェア・情報処理、通信・ネットワーク、などの業界がある。


これらは主要な業界以外にも、詳細に見ればさらに多くの業界がある。また今日ではIT化や経済のグローバル化が進展しており、上記の伝統的な業界分類では対応できなくなっていることも事実である。例えば、皆さんがよく知るアパレルのユニクロ(ファーストリテイリング)は小売業ではあるが、中国やバングラデシュで自社製品を製造もしているので製造小売業(SPA)という業界の垣根を超えたポジションに位置している。


家具業界で成長を続けるニトリもインドネシアやベトナムで商品を製造しているのでSPAといえることに加え、自前で物流(配送)も行っているためSPAを超えた製造小売物流業と表現しても間違いではあるまい。


さらに、近年はインバウンド(訪日外国人)やフィンテック(ファイナンスとテクノロジーを組み合わせた造語)業界など複数の業界が組み合わさって構成される新たな業界もある。例えばインバウンド業界は、百貨店、コンビニ、ドラッグストア、ホテル、家電量販店、免税店、旅行、レジャーなど様々な業界で構成されており、現実的には単一業界とは言えない。


本ブログでは、主要業界やその業界に属する企業の動向に触れるとともに、可能であれば新しい業界の解説もしてみたいと考えている。次回は業界研究に入る前の段階として情報収集の仕方をチェックする予定である。ご期待ください。



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今回取り上げる面接の頻出質問は「学生時代に力を入れたこと」である。この質問の意図は、(1)学生時代に明確な目的意識を持って生きてきたかのチェック、(2)力を入れたことの結果として成功体験(達成感)はあるか、また失敗体験でも次のステップに向けてどう乗り越えたのか、(3)力を入れたことから何を学んだのか、などである。まとめれば、学生時代に真剣でがんばったことを聞くことで、学生の人間性や問題解決能力を判断するのである。

この質問には、勉強、アルバイト、サークル活動、など何でもいいが、一つのトピックに絞って具体的に話すことがポイントになる。注意すべき点としては、単純な思い出話や体験談で終わらせないように工夫することである。具体的にモノサシで測れるような成果や学んだことがなければ、作文的な雰囲気になってしまい、同じような「学生時代に力をいれたこと」何度も聞かされている面接官の意識をこちらに向けさせるのは難しいだろう。

私に相談にきた学生の事例を紹介しよう。教育産業志望の男子学生である。模擬面接で学生時代に力を入れたことを聞いたところ「学生時代は大学1年の時から週2日、中1の男子中学生の数学と英語の家庭教師をしています。最初はなかなか勉強に集中してくれなかったのですが、真剣に教えたことで彼も真面目に勉強に取り組むようになりました。成績も上がって、ご両親も喜んでいます」との回答だった。

読者の皆さんの印象はどうだろう。私は全体としてまとまってはいるものの、全体的に何か物足りない印象を受けた。ありきたりの話になっているからである。

とはいえ、題材は悪くないので、少し手直しすればよくなる。私が彼にアドバイスした後に修正したところ、次のようになった。「学生時代は1年の時から男子中学生の家庭教師を続けており、彼の成績アップに注力してきました。家庭教師を始めた頃はまだ中1だったせいか勉強にも身が入らず、成績も良くなかったです。正直どうすればよいか悩みました。しかし、真剣かつ厳しく教えることでわかってもらうしかないと考え、一生懸命に教えました。その結果、彼からの信頼感も増したようで勉強に対する姿勢も一変したのです。その結果、学年順位も中1春には全学年250名中120番だったものが中3春には50番に上がりました。この調子で行けば第一志望の都立高校に入れそうです。家庭教師の経験から、私は教えることの大切さを学びました」

いかがだろうか。手直し後はかなり良くなったように思われる。具体的な成果を数値で表現すれば、わかりやすい。具体的には、「学年順位も中1春には全学年250名中120番だったものが中3春には50番に上がった」と述べている点である。また「悩んだこともあったが、真剣かつ厳しく教えることでわかってもらうしかないと考え、一生懸命に教えました」というところも困難な局面を打開した点が評価されるだろう。

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今回は面接での頻出質問の二つ目として自己PRを取り上げたい。前回の自己紹介でも触れたように自己紹介と自己PRはほとんど同じ意味合いの質問である。繰り返しになるが、企業が学生に自己PR(自己紹介)をさせるのは、(1)学生がどんな人間かを知る(人間性、人柄、性格、リーダーシップ能力、コミュニケーション能力)、(2)頭の回転が速いかどうかを確認する(簡潔にわかりやすく話すことができるか、プレゼンテーション能力)ためである。

ただし、自己PRの場合は自己紹介に比べ自分のセールスポイントを会社に売り込むといった視点がより必要になる。言い換えれば、自分のセールスポイントをいかに会社で活かすことができるかを売り込むのである。

セールスポイントには例えば「積極性」、「簡単にあきらめない粘り強さ」、「リーダーシップ」、「チャレンジ精神」、「強い精神力」、「海外経験」などが挙げられる。ここで注意したいのは、単に「私は何事にも決してあきらめない点に強みがあります」や「私は常に冷静沈着で感情的になることは決してありません」などという表面的な自己PRは面接の通過は難しいということである。

なぜだろうか。それは、(1)セールスポイントを裏付ける具体的なエピソードがないので説得力に欠ける、(2)セールスポイントが会社の仕事に役立つという説明がない、(3)セールスポイントが一般的かつ抽象的であり他と差別化されていない、からである。

そこで以下では、私のゼミ生で小売大手に内定した学生の自己PRの事例を紹介するとともに解説を加えてみたい。

小売業界志望の女子学生(エントリーシートより一部抜粋)
「私は大学1年の時からコンビニエンスストアでアルバイトをしてきました。レジ、商品陳列、商品発注などすべてを経験し、店長からも信頼されています。私はお客様に商品を売って喜んでもらうことで幸せになります。自分自身、本質的なところで接客が好きなのだろうと思います。大学4年の学園祭でガレージセールがあったのですが、私がブースを担当している時に友人から、『とても楽しそうだね。笑顔がすてきだよ』と言われました。このような私の小売業に向くセンス、あるいは接客の強みをぜひとも御社で発揮したいと強く希望しています。御社に貢献できると確信しております」

いかがだろうか。上の事例は「自分の強み」、「自分の経験」、「他人からの評価」、「具体的なエピソード」、「会社へのアピール」などがすべて盛り込まれている。面接官を納得させる材料が十分といえ、この内容であれば面接通過は間違いないと言えるだろう。

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今回からは面接での頻出質問を掘り下げて、どのように回答したらベストなのかを検討する。最初に自己紹介を取り上げたい。自己紹介は面接の最初に聞かれる質問であり、ここを無難にこなして面接官と意思疎通がしっかりできれば、残りの質問も必ずうまくいくと思う。その意味では、面接通過の鍵を握る質問でもある。

企業が就活生に自己紹介をさせるのは、(1)学生がどんな人間かを知る(人間性、人柄、性格、リーダーシップ能力、コミュニケーション能力)、(2)頭の回転が速いかどうかを確認する(簡潔にわかりやすく話すことができるか、プレゼンテーション能力)ためである。このため、就活生としても、会社側の期待に応えるべく、自己紹介に一工夫こらす必要があるだろう。

(a) 自己紹介の内容
これまでやってきた自己分析の成果を発揮しよう。自分の特徴(=自分がどんな人間であるか)を具体的なエピソードを交えて、はっきりと明確にわかりやすく話すことが肝要である。学生生活で注力したこと、例えば専門科目の勉強、サークル活動、アルバイト、オープンキャンパスの手伝い、学園祭での経験、などが入った自己紹介であれば直近のエピソードが多いので面接官も理解しやすいだろう。

自己紹介は自己PRとほぼ同義の質問と考えてよい。したがって、自分の強みについてエピソードを交えて強調しても一向に構わない。この時に留意したいのは、自分の強みを志望する会社の仕事に活かすことができるという視点である。例えば、「○○を通して身に付けた"簡単にあきらめない粘り強さ"は御社の営業で必ずお役に立てると確信します」と言えばよい。

自己紹介に小学校時代や中学、高校時代のエピソードも悪くはないが、現在に続くものでない限り、避けた方が無難といえよう。現在も続けているスポーツ等に関連するエピソードを挙げるのは問題ないものの、今に繋がらない小中高での単発のエピソードは、「古すぎる」「最近は何もないの?」というふうに面接官からネガティブな印象を持たれてしまう可能性があるからである。

(b) 面接時の注意点
面接の際に念頭に置くべきこととして次の三点を挙げたい。一点目は、面接官とのアイコンタクトを絶やさないことである。人の目を見て話すというのは、コミュニケーションの基本である。面接官があなたを見つめていて、思わず目をそらせたいと思ったら、その時点で負けである。面接は真剣勝負の場ともいえる。面接官の目をしっかり見て、自己紹介をして欲しい。

二点目は、自己紹介はある程度暗記しなくてはいけないが、話す時に暗記した文章の棒読み口調になってはいけない。私も採用面接に立ち会い、また現職で学生の面接指導をしているが、棒読みだと聞いていて退屈に感じられる。自然な感じで話すことが必要である。それができるようになるには、模擬面接を何度も繰り返すしかない。ゼミの先生やキャリアセンターの教職員を相手にOKが出るまで練習する必要がある。

三点目は、自己紹介は1~2分程度で簡潔なものにすることである。頭の回転の速さ、頭の切れは、ここでチェックされる。わかりやすい表現を心がけて、笑顔で話そう。だらだらと長く話すのは絶対にNGだ。

(c) ボディランゲージは効果的
面接対策本にはボディランゲージについて触れてあるものは見たことがない。しかし、自己紹介に限らず面接でボディランゲージを使えば、面接官には新鮮に映り、あなたの印象はよくなると思われる。身振り手振り、そして話のポイントとなる箇所では大きなボディランゲージを交えれば効果的だろう。

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面接で出される質問には、簡潔に答えることが必要である。ダラダラと長く話していれば、面接官からは「話をまとめる能力がない」、「要領が悪そう」などと見なされて、次のステップへ進むことは難しいだろう。質問の回答時間は、1~2分くらいがベストではないかと考える。

私の4年生向けのゼミでも所属学生に「自己PR」や「学生時代に力を入れたこと」などの面接練習をさせている。その際に残念に思うのは、意外に思われるかもしれないが、大学時代が充実しており、PRの材料に事欠かない学生である。このような学生は、すべての引き出しを開こうとして、意図とは逆に「あれもやりました、これもやりました」というふうに長話となることが多い。

例えば、サークル活動にがんばって成果を出した、ボランティア活動もリーダーとして行った、ゼミでもゼミ長としてリーダーシップを発揮した、学校行事のオープンキャンパスにも積極的に参加して大学に貢献した、などいう学生である。すべてを言うのは時間的に難しい。ある程度テーマを絞った方がいいだろう。

ここで本欄の読者に簡潔に述べるいい方法をお教えしよう。文章を書くのと同じ手法であり、「業界の志望理由」や「今の学部を選んだ理由」など理由を問うような質問には効果を発揮するだろう。

その方法は、最初に結論を述べ、その後に「私はこれから述べる三点の理由でこの業界を選びました。一点目は○○です。二点目は△△です。三点目は□□です」と答えるのである。ビジネス・プレゼンテーションの基本形でもある。これであれば、話がわかりやすく、かつ説得力がある。ぜひ試して欲しい。

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採用面接で聞かれる質問は概ね決まっている。「自己紹介・自己PR」や「志望動機」を中心に、①自己分析的な質問(強み、弱み、苦手な人)、②過去の経験に関する質問(成功体験、挫折経験、一生懸命だったこと)、③大学生活に関すること(大学時代に打ち込んだこと、部・サークル活動、インターンシップ)、④将来に関すること(10年後の自分、将来の夢)、⑤就活状況・その他時事問題(他社の選考状況、最近気になったニュース)などのジャンルに大別できる。

このため、就活生のみなさんは上記の質問に対する回答をあらかじめ準備しておくのが望ましい。ところが筆者の勤務する大学で面接の練習をやると、回答を丸暗記してしまい棒読みになってしまう学生が結構いる。そのような学生には大変失礼だが、失笑を禁じえない。全体にぎこちなく、自然さがないからである。

面接とは面接官と学生とのコミュニケーションの場である。面接官は最初の質問の回答に対し、何かしらの追加質問をしてくる。そうした追加質問に答えることで、会話が成立する。このような局面では丸暗記は通用しない。

この点はなかなかニュアンスを伝えるのは難しいのだが、想定質問に対する準備は必要である。ただし、その場の雰囲気や面接官の表情などを読み、臨機応変に自然なかたちで質問に答えなければいけない。どのような質問に対しても棒読みの回答では面接を通過するのは難しいだろう。あくまでも自然な受け答えが肝要である。

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面接ではマナーや身だしなみはどの程度重要視されるのだろうか?結論から言えば、これらはとても大事で合否に直結すると考えて間違いない。ここで言うマナーや身だしなみとは、髪の毛や服装の清潔感(面接を受ける立場としての身だしなみが整っているか)、言葉使い(敬語)がちゃんとできているか、挨拶がきちんとできているか、などである。

この点は就活生の皆さんが実際に面接官の立場に立って考えて見ればよい。例えば、面接に来た学生が、髪の毛がボサボサでネクタイも緩んでおり、「いいじゃん」などの学生言葉を使えばどう思うだろうか。こんな学生とは絶対に一緒に仕事をしたくないと考えることは容易に想像がつく。就活本によっては、「マナーは評価の対象になることはあまりない」などと書いてあるものもあるが、決してそんなことはない。

私の勤務する大学では毎年、洋服の青山(青山商事グループ)の店長さんにお越しいただき、就活生向けに「スーツ着こなしセミナー」を開催している。それによれば、面接官の第一印象は合否を左右する重要なポイントであるという。さらに第一印象は実際に面接の待合室から面接室に通されて椅子にかけるまでの6秒~12秒間で決まるようである。

第一印象を要素別にみれば、「視覚情報」(身だしなみ、表情、目線、身のこなし)55%、「聴覚情報」(挨拶、声のトーン、言葉使い)38%、その他7%となっている。すなわち、面接官の第一印象さえよければ、その後に続く面接での多少の失敗も見逃してくれる可能性もあるということである。それほど第一印象は大切であり、この点にも就活生の皆さんは注意を払う必要がある。

実際に私も仕事柄、企業の採用担当者の方々に(当方として自信を持って送りだした学生が)なぜ面接で落ちたのか伺うこともよくある。採用担当者の方々がしばしば指摘されるのは、「話を聞く態度ができていない」学生は採用しないということである。

直近の話では、ある会社の説明会で担当者が話をしている最中にあごに手をつけて眠そうな態度をとったという。それが会場内の採用・人事担当者の目に止まり、当該学生に対してダメ出しがあったという。採用担当者からは、「一次面接は一応実施するものの、まず落ちるでしょう」とのことであった。説明会での第一印象が悪かったのである。

この事例が示すように、採用担当者は会社説明会の席でも学生のマナーをチェックしている。まして面接では、さらに細かくチェックされるのは間違いない。マナーや身だしなみは大学のキャリアセンターなどで面接の練習を何度も繰り返せば、言葉使いも含め必ず身につけることができる。マナーや身だしなみは志望する会社に対する必要最低限の礼儀でもある。基本中の基本であるが、手を抜かないようにしたい。

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