前回は建設業界を取り上げたので、今回は建設機械業界を調べてみたい。個人的にはこの業界は思い出深い業界である。それと言うのも30代前半の頃、海外機関投資家相手のアナリストとして機械セクターを担当したことがあり、建設機械大手のコマツと日立建機をフォローしていた。その時に欧州の機関投資家を訪問する機会があった。私の準備した買い推奨銘柄の一つがコマツだった。現地の大手運用会社のベテラン日本株ファンドマネージャーの前でコマツの成長ストーリーをプレゼンしたことは今でも覚えている。数日後にロンドンの営業から、「フランスと英国の機関投資家から買い注文が入った」という連絡があったときは嬉しさがこみあげてきたものだ。

建設機械と言っても様々な種類がある。2018年度の国内建設機械出荷額の内訳を見ると、油圧ショベルとミニショベルで全体の48%を占め、建設用クレーン10%、トラクター11%、道路機械3%、補給部品13%などとなっている。

油圧ショベルでグローバル企業に成長しているのが前述したコマツ(世界2位、国内1位)と日立建機(世界3位グループ。国内2位)である。ちなみに世界1位はキャタピラー(米)であり、日立建機と世界3位を争っているのが、ボルボ(スウェーデン)、ディア&カンパニー(米)である。ボルボと言えば自動車を思い浮かべる学生も多いだろうが、建設機械でも世界的なブランドなのである。

油圧ショベルでコマツと日立建機以外の大手では、コベルコ建機(神戸製鋼所子会社)、住友建機(住友重機械工業子会社)がある。ミニショベルではクボタ(ミニバックホーで知られる)や竹内製作所が世界でも活躍している。フォークリフトでは豊田自動織機が世界1位、クレーンではタダノが世界2位クラスであり、国内ではタダノと加藤製作所のシェアが高い。また高所作業車では、アイチコーポレーションが国内トップシェアを誇る。

さて話をコマツと日立建機に戻そう。この両社は私が担当していた25年前頃はまだ国内売上高が5~6割以上あったと記憶しているが、その後は世界展開を推し進め、前述したように我が国を代表するグローバル企業に成長した。どれだけグローバル化が進んでいるのかをコマツの事例で説明しよう。

コマツの2019年3月期の売上高は2兆4,666億円(前期比8.8%増)であった。地域別の内訳を見ると戦略市場と位置付けるアフリカ5%、中近東1%、オセアニア9%、アジア14%、中国7%、CIS5%、中南米13%であり、伝統市場とする欧州8%、北米25%、日本13%となっている。日本の売上比率がわずか13%しかなく、ほぼ世界中にコマツの建機が売れている点に注目して欲しい。ちなみにコマツは現在、アフリカ市場への取り組みを強化している。アフリカは多種多様な鉱山資源が地下に眠っているとされ、鉱山機械や油圧ショベルの潜在ニーズが大きいからである。

コマツの構造改革を実現し、海外展開を拡大したのは「ダントツ経営」で知られる坂根正弘氏(社長在任2001年~2007年、その後同社会長、相談役、経団連副会長も務めた)である。坂根氏のマネジメントについては、著書「ダントツ経営」(2011年、日本経済新聞出版社)を読めばよくわかるのでぜひ読んでいただきたい。コマツに入社すると経営層を含む全社員が共有し継承すべき価値観として「コマツウェイ」という冊子がわたされる。これは私たちも同社のHPで見ることができるが、「コマツウェイ」を策定したのも坂根氏である。

次に業績を見てみよう。コマツも日立建機の直近はやや苦戦気味で、コマツは10月30日に発表した2020年3月期の中間決算で、通期の営業利益予想を3,370億円から2,790億円へ下方修正した。中国を含むアジアの建機、インドネシアやオセアニアで鉱山機械の販売が減少したからである。日立建機も同様の理由で2020年3月期中間決算は前年同期比2桁の減益を余儀なくされている。

しかしながら、私は建設機械大手の将来はきわめて明るいと楽観的に考えている。建設機械は世界の政治経済情勢の影響を受けるので短期的な需要に波があるのは止むを得ないことである。中長期の視点で見れば、世界需要は拡大基調が続くとみる。アフリカなど建機需要がこれから本格化する地域もある。

建設機械の募集職種は、文系では営業、調達、生産管理、経理、人事、法務など。コマツは全国採用と事業所採用の二つの採用ルートがあるので留意して欲しい。建機大手の求める人材はやはり海外で活躍することのできるグローバル人材だ。アフリカやCIS諸国、インドネシアなどでの勤務を経験したいと考えている学生は内定が近い。学生時代から英語力を磨き、TOEICのスコアを高めておくことも必要だろう。

Copyright(C) JUE All Rights Reserved.
今回は建設業界を取り上げる。みなさんはゼネコンという言葉を一度は聞いたことがあると思う。ゼネコンとは、ゼネラルコントラクター(総合請負業者)の略語である。ゼネコンは自治体や不動産デベロッパー、企業などの施工主から土木、建築工事を受注する。ゼネコン自体は工程管理に特化し、具体的な作業は専門を持つ(例えば、地盤・躯体・内装など)の一次下請け業者、二次下請け業者と契約し、工事全体のとりまとめを行う。

我が国には売上高1兆円を超えるゼネコンが5社ある。鹿島、清水建設、大成建設、大林組、竹中工務店である。これら5社をスーパーゼネコンと呼んでいる。規模的にスーパーゼネコンに次ぐ準大手ゼネコンも10社以上ある。スーパーゼネコン、準大手ゼネコンのいずれも特色や強みのある分野を持つ有力企業なので以下で紹介したい。

鹿島は、建築だけでなく土木にも強い建設業界の名門企業。ファミリー企業としても有名で役員には創業家一族が多い。日本初の超高層ビル「霞ヶ関ビル」を建てた。東日本大震災後は不採算案件が残り低迷していたが、ここ数年は首都圏の再開発案件や東京オリンピック関連の需要などで、業績は好調が続いている。代表建築として、日本橋高島屋三井ビルディング・日本橋高島屋S.C.新館、東京ミッドタウン日比谷、東京駅丸の内駅舎復元など。

清水建設は、企業本社など首都圏の民間建築に強みを持つ。コレド室町や国立西洋美術館などが代表建築。近年は銭函風力発電所(北海道小樽市、2020年3月竣工予定)を手掛け、またクリーンルームの空調制御システムを開発(2019年9月17日プレスリリース)するなど環境エネルギー関連にも力を入れている。あまり知られていないが、同社のルーツは宮大工(創業1804年)であり、今でも社寺建築・伝統建築に強みを持つ。例えば、西新井大師總持寺山門の耐震改修工事や浅草寺五重塔のリニューアルは同社の実績である。

加えて清水建設は、ダイバーシティ宣言を行い女性活躍推進や外国籍従業員の登用に力を入れている。私はおよそ10年前に建設担当アナリストの代理で同社の決算説明会に参加したことがある。担当役員をはじめ、同社の関係者や出席しているアナリストすべて男性でとても息苦しかったことを記憶している。HPを見た限りでは、この10年でかなり社風が変わったのではないかと推測する。

大成建設は、大手ゼネコンでは珍しく非同族会社である。新国立競技場やトルコ・ボスポラス海峡の海底トンネルなど国家的なプロジェクトに関わる事例が目立つ。横浜ランドワークタワーも同社の手によるものだ。

大林組は、関西発祥ではあるが、首都圏でも実績を積み上げている。代表建築に、東京スカイツリー、大手町プレイス イーストタワー、六本木ヒルズ森タワーなど。

竹中工務店の創業は400年を超えるが、非上場を貫いている。高級建築に強くブランド力を有する。自社の建築物を作品と呼ぶこだわりがある。主な建築作品には、あべのハルカス、東京タワーなど。通天閣の改修(免振化、屋外展望台新設)も同社が手掛けた。

準大手ゼネコンでは、長谷工コーポレーション(マンション建築トップ)、戸田建設(名門企業、大規模再開発で実績があるほか、学校や病院にも強い)、三井住友建設(三井不動産の分譲マンションとプレキャスト橋に強い)、西松建設(ダム、トンネルなど土木が強い)、東急建設(東急グループ、渋谷再開発を手掛けている)、などが挙げられる。

ゼネコンの受注に大きな影響を与える日本の建設投資額は1992年度の84兆円から2010年度には42兆円まで半減した。これに伴って、ゼネコン各社も赤字受注など「冬の時代」を経験することとなった。建設投資額は2010年度を底に回復に転じたものの、2018年度の見通し(国土交通省)は57兆円である。まだピーク時の7割弱の水準である。しかしながら、ゼネコン各社の業績は2017年3月期、2018年3月期と急速に上向き、過去最高益を更新する企業が続出し、絶好調とも言える状況になった。この要因は工事の採算が改善したためで、ゼネコン各社の売上高総利益率は軒並み10%を超えている。

直近のスーパーゼネコンの業績を見ると、2020年3月期は前年実績を下回る見込みである。旺盛な建設需要が続いており、工事の受注残は過去最高水準にあるが、労務費や資材費(H型鋼などの建築鋼材)の高騰をカバーできないからである。とはいえ、ゼネコン各社は東京オリンピックが終わっても相当な受注残があり、またリニア新幹線や大阪万博なども控えていることから、各社の業績が急速に厳しくなることはないだろう。

問題は長期の視点である。我が国での人口減少は避けられないため、10年後や20年後には確実に建設投資額は減っていく。海外での受注獲得に注力することも考えられるが、かつて大手ゼネコンは海外案件で不採算受注を余儀なくされたこともあった。内需が中心のゼネコンにあって、受注案件が減少する「冬の時代」はいずれ再び訪れる。ゼネコン各社は、海外ビジネスのさらなる拡大、あるいは建設以外で新たな収益源を見出す必要がある。

ゼネコンの募集職種は、文系では営業がメインとなる。営業の仕事は入札物件の情報をもとに設計や開発とプロジェクトチームを組んで、応札するかどうかを検討する。その際、発注者とやり取りするのが営業の仕事である。入札会場に出向くのも営業である。100億円を超える大型案件を落札するのは営業の醍醐味と言えよう。海外事業を希望するのもいいだろう。鹿島や大林組などでは海外事業を担う若手社員向けに国内外ビジネススクールへの留学支援制度もある。ビジネススクールで国際経営学の知識のみならず幅広い視野や人脈を作って世界で活躍してほしい。

Copyright(C) JUE All Rights Reserved.
今回は不動産業界を取り上げる。不動産業界は土地や建物などに関わる業界のことで、「開発業」(ビルや商業施設、ホテル、マンションなどを開発するデベロッパー)、「賃貸業」、「流通業」、「管理業」の4つに分類される。これらのすべてを行う企業は「総合不動産」と呼ばれる。そのなかでも大手は、三菱地所、三井不動産、住友不動産、野村不動産HD、東急不動産HDの5社である。

総合不動産大手にはそれぞれ特色がある。三菱地所は、三菱グループの総合不動産で丸の内ビルや新丸の内ビルなど丸の内界隈のビルの賃貸を基盤としているため「丸の内の大家さん」と呼ばれる。近年は丸の内に隣接する大手町や有楽町の地域一体開発を手掛ける。傘下には分譲マンション「ザ・パークハウス」を手掛ける三菱地所レジデンスや米NYを拠点に不動産事業を展開するロックフェラーグループがある。

三井不動産は総合不動産の最大手でビル賃貸を主力とするも分譲(分譲マンション、戸建て住宅)にも強い。ビル賃貸は日本橋地盤で、近年は八重洲、日比谷などで再開発を進めている。日本初の高層ビル「霞ヶ関ビル」(1968年)は同社が手掛けた。子会社三井不動産レジデンシャルが分譲マンション「パークホームズ」、戸建て住宅「ファインコート」を手掛ける。さらに三井不動産商業マネジメントでは商業施設「ららぽーと」や「三井アウトレットパーク」を手掛ける。なお、「ららぽーと」は海外進出も計画されており、2020年には上海に海外初の「ららぽーと」がオープンする。

住友不動産は東京中心のオフィスビル賃貸が主力であるが、分譲マンション(シティハウス、シティタワーなど)でも販売戸数で首位を誇る。2000年代からオフィスビルが拡大し、利益水準では三井不動産、三菱地所に肩を並べるところまできた。子会社には汐留や六本木でホテルを運営する住友不動産ヴィラフォンテーヌ、貸し会議室・イベントホールを運営する住友不動産ベルサールがある。同社は海外投資から撤退していたが、2019年7月にインド西部の大都市ムンバイでオフィスビル賃貸事業を行う方針であると発表した。

東急不動産ホールディングスは東急電鉄系の総合不動産大手。ビル賃貸が収益の柱であるが、管理(東急コミュニティー)、分譲マンション(ブランド名BRANZ)、不動産売買仲介(東急リバブル)、小売(東急ハンズ)など多角化企業の側面もある。東急不動産といえば東急電鉄とジョイントで渋谷駅周辺の再開発プロジェクトが進行中だ。筆者の勤務する大学も渋谷にあるため、再開発の工事現場や進捗を目の当たりにしている。2018年9月に開業した渋谷ストリームにはGoogleが入居したほか、2019年11月に開業する渋谷スクランブルスクエア東棟(最終の完成年度は2027年度)にはミクシィ、サイバーエージェントが入る。渋谷はIT企業の一大集積地として日本版シリコンバレーの色彩を濃くしているが、それを造りあげたのは東急電鉄と東急不動産ホールディングスである。

野村不動産ホールディングスは、住宅比率が高い点に特色がある。主力の分譲マンションは「プラウド」ブランドである。近年は新たなビル事業としてプレミアム賃貸オフィスビル「PMO」に力を入れている。

不動産業界には総合不動産大手5社以外にも特色ある優良企業が多い。オフィスビルでは、森トラスト、森ビル、ヒューリック、NTT都市開発(「ウエリス」ブランドの分譲マンションマンションも手掛ける)、平和不動産、ダイビルなどがある。分譲マンションでは、東京建物(ブリリア)、大京(ライオンズ)、タカラレーベン、ゴールドクレストなどがある。

不動産大手5社の業績については、2019年3月期決算で見ると野村不動産HDを除く4社が増収増益を記録した。オフィスビル賃貸が好調に推移したことが背景にある。今2020年3月期もオフィスビル賃貸のさらなる拡大が見込まれるため業績は続伸の見込みである。足元の業績は好調に推移している。

オフィスビルの好調は今後も続くのだろうか。東京都心では大型オフィスビルの竣工が続いているものの、2019年7月の東京都心5区のオフィス空室率は大量供給があったにも関わらず1.71%となり、過去最低水準の状況が続いている(データは三鬼商事)。企業の増床や移転のニーズは強く、少なくとも数年先までは低空室率が続くと見られる。

一方、新築分譲マンションについては、首都圏では駅徒歩5分以内の好立地物件については引き続き旺盛な需要が期待できるものの、それ以外の物件は販売価格の高止まりで一般のサラリーマン層の購買が追い付かず販売が長期化する傾向にある。全体として新築分譲マンション市場は2018年の契約率を見ても明らかに減速傾向にある。我が国はこれまで新築分譲マンション志向が強かったが、今後は中古マンションや賃貸マンション市場の人気が高まるのではないだろうか。

中長期で不動産業界の将来を考えると、やはり人口減少の影響は避けられない。総合不動産各社は上述した三井不動産や住友不動産のように海外でのビジネス拡大に一段と力を入れていくことになるだろう。

不動産会社の募集職種は、総合不動産で見ると営業、企画、開発、管理、海外部門などがある。今後海外でのビジネス拡大路線がほぼ確実なだけに海外部門を希望するのも面白いと思われる。なお、不動産会社でも分譲マンションや戸建て販売を手掛けている企業に入社した場合、自社物件を購入する際に社員割引(会社によって異なるが数%と言われている)の恩恵を受けることができる。例えば、5000万円のマンションで5%割引であれば4750万円で買うことができる。金額的にはかなりのディスカウントと言えよう。自社物件社員割引制度の存在は、不動産会社への就職を検討する際に念頭に入れておいて損はない。

最後に資格について。不動産業界を志望する学生は、在学中から宅地建物取引士(宅建士)の資格試験にチャレンジすることが望ましい。かなりの難関資格ではあるものの、不動産会社に入社すれば取得が事実上必須とされる。比較的時間に余裕のある学生時代に宅建士の資格を取得しておけば、不動産各社で内定を得る可能性は高いだろう。

Copyright(C) JUE All Rights Reserved.
今回は生命保険業界を取り上げる。生命保険会社は2016年で41社あり、業態・特徴別に5つに分類される。第一は伝統的業態の生保9社(日本、第一、明治安田、住友など)、第二は第三分野に強みを持つ生保10社(アクサ、アメリカンファミリー、オリックスなど)、第三は直販系の生保3社(アクサダイレクト、ライフネットなど)、第四はかんぽ生命、第五はその他生保18社(ソニー、プルデンシャルなど)である。

直観的に社数が多いなという印象を受ける学生の皆さんもいるだろう。実際に我が国は生命保険大国と言われており、その市場規模は約40兆円(年間の生命保険料ベース)である。これは米国に次いで世界第2位の規模であり、生命保険の世帯加入率は89.2%と高い(データはMS&ADホールディングス資料)。

直近の業績はどうか。日本生命や第一生命など大手保険会社の2019年3月期は最高益が相次ぐ好決算であった。本業のもうけを示す基礎利益は日本生命、第一生命、明治安田生命が最高益を更新し、住友生命保険も3期連続の増益だった。生命保険会社のもうけの仕組みは3つある。死差益(予定死亡率)、利差益(予定利率)、費差益(予定事業費率)である。簡単に言えば契約者からの保険料を貸付けたり、運用したりして稼ぐビジネスモデルである。2019年3月期は利差益で増益となった生保が目立った。マイナス金利の国内債券から外国債券や株式などに運用資金をシフトしたことが奏功した。

このように大手生保が低金利で運用難とされる時代に最高益を更新したのは素晴らしく、各社の運用力については高く評価できるだろう。しかし一方で、中長期の視点で考えると先行きは楽観はできない状況にある。

大和総研の内野逸勢主席研究員のレポート「20年後の生命保険業界の行方」(2017年10月13日)によれば、20年後を想定した場合の持続可能性について懸念される事項がいくつかあると指摘する。まず注目すべきは保有契約高の減少である。20年後に労働力人口が50%を下回れば、業界全体の保有契約高が2015年度より13%低下(約100兆円)するという。また2035年には現在の主要顧客層である団塊の世代のすべてが死亡平均年齢に達することに加え、2020年には世帯数がピークアウトする。

さらに内野氏は同レポートのなかで、小規模な生命保険会社を除いた大手26社の20年後の基礎利益マージン(2036年3月期の保有契約高に占める基礎利益の割合)を試算している。それによれば、保有契約高100兆円規模のすべての会社で黒字になったという。これは、100兆円以上の保有契約高を維持できる会社であれば生保業界の構造変化にも耐えることができるということを示している。

内野氏の分析を参考にすれば、今後生保業界は市場が縮小するなかで再編が起きる可能性が高い。都市銀行が三大メガバンクに集約されたように、日本でもメガ生保が誕生するかもしれない。とりわけ、大手生保各社は国内市場の成熟を見越して海外保険会社のM&Aを積極的に行っている。筆者の学生の頃は、生命保険会社へ就職するにあたって語学力はさほど必要ではなかったように思う。しかし、これからの時代は生命保険会社への就職は語学力が必須となるだろう。

生命保険会社の主な募集職種は、営業、海外、商品開発、資産運用などである。本稿では詳しく触れなかったが、超高齢化が進展するなかで新たな保険商品の開発も急務といえる。介護や認知症になった場合に備える保険、「トンチン性年金」(長生きすればするほど多くの年金を受け取ることができる)などのニーズが高まるのは確実だ。面接では「時代に合った保険商品を作りたい」と強調して、商品開発を志望するのもいいだろう。

最後に今後の生命保険業界のあり方、例えば商品、サービス、顧客サポート、営業手法など)を大きく変えるかもしれないインシュアテック(InsurTech)」について触れておきたい。インシュアテックはインシュアランス(Insurance)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語であり、保険とITを融合したものだ。意味合いとしては、金融のフィンテック(Fintech)に相当する。

我が国の生保業界は従来から保守的でテクノロジー面で遅れているなどと言われてきたが、インシュアテックを取り込むことで、画期的な新型商品を売り出し、運用パフォーマンスが劇的に向上し、保険サービスの効率性を高めること等ができれば、今では想像もつかない生命保険会社に生まれ変わる可能性を秘めている。

すでに商品面では、住友生命の「Vitality」(バイタリティ)、東京海上日動あんしん生命の「あるく保険」など健康増進への取り組みに応じて保険料が増減する保険、インシュアテックの実験場と言われるスマホ上で申し込みが完結する少額短期保険(ミニ保険、保険金額の上限1,000万円以内、期間が2年以内)の利用が急拡大している。ミニ保険にはペット保険や死亡時の葬儀費用に充てる、家財道具が壊れたときの保障、といったものが代表的な商品である。とはいえ、2018年度のミニ保険の保険料収入は1,000億円規模に達したものと見られる。生保業界志望の学生諸君はインシュアテックの動きにも注目して欲しい。

Copyright(C) JUE All Rights Reserved.
今回は証券業界を取り上げる。ここにきて証券会社のサービスは多様化している。従来型証券会社では、1)個人投資家や機関投資家の株式や債券の売買注文を仲介するブローカー業務、2)証券会社自身が自己資金で株式・債券を売買するディーリング業務、3)企業が株式や債券を発行する際に証券会社が引受けて個人や企業に販売するアンダーライティング業務、4)新規公開にかかわる株式の募集および売出しを取り扱うセリング業務、の4つが主力ビジネスであった。

ところが最近では1999年の株式売買委託手数料の自由化などを経て、証券会社もリテール部門では株式よりも投資信託販売や保険販売、そしてラップ口座や積立投信といった顧客資産の残高によって手数料を得る資産管理型ビジネスに注力している。また法人向けのホールセール部門ではM&Aの仲介や資本提携の仲介といった投資銀行(インベストメントバンク)ビジネスに力を入れている。

現在の証券会社は3つのグループに大別される。一つ目は独立系大手の野村ホールディングスと大和証券グループ本社である。預かり資産や収益で業界のトップ2である。かつて日本には野村證券、大和證券、日興證券、山一證券という4大証券があった。しかし山一證券は1997年に経営破綻し、日興證券はシティバンク傘下にあったが、現在はSMBC日興証券としてメガバンクである三井住友フィナンシャルグループの証券会社となった。

そのメガバンク系証券(二つ目のグループ)にはSMBC日興証券のほかに、みずほフィナンシャルグループのみずほ証券、三菱UFJフィナンシャル・グループの三菱UFJモルガン・スタンレー証券がある。メガバンク系証券会社はグループの銀行や信託銀行などと銀証一体化を推進しており、銀行顧客の紹介を受けているほか、事業承継やプライベートバンキングビジネスを積極化させている。

三つ目はネット証券である。株式売買手数料の安さを武器に2000年代に入り急成長を遂げた。今では大半の個人投資家はネット証券で株式の売買を行っている。主な会社として、最大手のSBI証券をはじめ楽天証券、松井証券、カブドットコム証券、マネックス証券、GMOクリック証券などがある。

それぞれの会社に特長があり、楽天証券は親会社楽天とのシナジーを目指し、GMOクリック証券はFX取引に定評がある。マネックス証券は米国第6位のネット証券トレードステーションを保有しているほか、仮想通貨ビジネスに参入している。カブドットコム証券は三菱UFJフィナンシャルグループ系だが、2019年2月12日にKDDIの傘下に入ることが明らかになった。Auカブコム証券になるということだ。

証券各社の業績は基本的に株式相場動向に左右される。ただ先に述べたように、独立系大手やメガバンク系証券会社は資産管理型のビジネスを強化し、また投資銀行ビジネスを拡大することで、相場が悪くても収益を得られる体制作りを行っている。またネット証券も仮想通貨など新規ビジネスに注力している。仮にこの先株式相場の長期低迷が続いたり、リーマンショックのような出来事が起こったりしたとしても証券各社の業績悪化リスクは以前より減少しているのかもしれない。

ネット証券以外の証券会社は総合職採用で入社後は伝統的に支店でリテール営業を数年やることになる。その後は本人の希望や適性に応じて幅広い職種に異動する。リテール営業を続けるものもいれば、法人営業、ディーリング、トレーディング、IPO、コンプライアンス、M&Aなど投資銀行業務、証券調査、国際部、海外現地法人、本部(人事、研修、法務、総務)などに異動するものもいる。いずれも専門性が極めて高い職種である。証券マンにとどまらず世界を相手にするインベストメントバンカーやプライベートバンカーなど活躍できるステージは無限にある。

Copyright(C) JUE All Rights Reserved.
今回は地方銀行を取り上げる。地方銀行は旧相互銀行、いわゆる第2地銀も含めると全国に104行ある。メガバンクと同じく預貸金利鞘の縮小や有価証券利回りの低下など深刻な運用難により、2018年3月期の地銀合計の当期純利益は9,563億円(前期比0.9%減)となった。

足元の状況が厳しいことに加え、地銀の場合は将来的に人口減少による地域経済の縮小という構造的な要因による資金需要の継続的な現象が見込まれている。2018年4月11日公表された金融庁の有識者会議の報告書「地域金融の課題と競争のあり方」には、今後の地方銀行の存続可能性が示された。それによれば、道府県単位で地方銀行2行の存続が可能な地域は宮城、神奈川、愛知、福岡など10府県、1行単独なら存続可能が北海道、京都、愛媛、熊本など13道府県、1行でも存続困難が青森、富山、和歌山、島根、宮崎など23県であった。

このため金融庁では、この先地方銀行の再編集約を推し進めていくものとみられる。加えて同庁では地銀に対して、将来に向けた「持続可能な経営モデル」を要求している。これは単なる合併で一息つくのではなく、将来にわたって持続していけるビジネスモデルへの変換を迫っているのである。地方銀行にとっては、残された時間が少なくなってきているという現実がある。

このように地方銀行は将来的にも厳しい状況が続くのは間違いない。現在も地銀は再編の過程にあるが、この先5~6年以内にさらなる再編や淘汰が起きるのは確実な情勢と言える。このため、地銀を志望する学生諸君はそれなりの覚悟を持って入社試験に臨む覚悟が必要だろう。

しかしながら、将来の再編や淘汰など重々承知で自分の愛着のある地域経済に貢献したいという強い気持ちがある学生、逆風のなかであってこそ自分の実力が発揮できる考える学生、あるいは自分が新しい地銀のビジネスモデルを作り上げると考える学生にとっては逆にチャンスかもしれない。

地方銀行の募集職種は本支店業務(営業、窓口、為替など)がメインで、大半の銀行では新卒で入行すればほぼ全員が支店業務となる。支店で3年ほど経過した後は、本人の適性や希望により本社(経営企画、営業企画、人事、広報、法務、コンプライアンスなど)への異動もあるものの、基本的には支店業務が中心となる。ただ地銀もメガバンクと同じように、支店数そのものは減少していくだろう。

最後に地方銀行の志望学生にぜひ読んでおいてほしい本や金融庁、日本銀行の調査レポートを紹介しておきたい。

「銀行員はどう生きるか」 浪川攻(2018)講談社現代新書
銀行員志望学生には必読の一冊。我が国のメガバンクや地銀の現状を概観し、その後米国の銀行の事例を詳細に紹介し、わが国の銀行もやがて米銀のようになってくだろうと指摘する。さらにフィンテック時代の銀行にも言及してある。大変革の渦中にある銀行業界がとてもよく理解できる。

「地域金融の課題と競争のあり方」2018年4月 金融仲介に向けた検討会議
(金融庁HPよりダウンロード可)
金融庁の有識者会議が地方銀行の抱える問題をまとめた報告書である。地方銀行の現状を理解するうえでぜひ一読をお薦めする。

「金融システムレポート」2019年4月 日本銀行
(日本銀行HPより全文と概要ダウンロード可)
金融システムレポートは日本銀行が半年に一度、金融システムの安定性を評価するため発表している。直近の2019年4月17日のレポートでは、企業の資金需要が現在と同じペースで減る場合、10年後の2028年度に約6割の地方銀行が最終赤字になるとの試算を示した。


Copyright(C) JUE All Rights Reserved.
新たに金融業界を取り上げる。初回はメガバンクについて見ていこう。メガバンクは巨大金融グループもしくは巨大銀行の意味であり、かつて日本に10行以上あった都市銀行に加え、長信銀および信託銀行が1990年代から再編を繰り返し、リーマンショック後の2011年くらいに現在の形(3大メガバンク、2準メガバンク)となった。

3大メガバンクは、三菱UFJフィナンシャル・グループ(中核の銀行は三菱UFJ銀行)、三井住友フィナンシャルグループ(三井住友銀行)、みずほフィナンシャルグループ(みずほ銀行)である。また準メガバンクは、三井住友トラスト・ホールディングス(三井住友信託銀行)、りそなホールディングス(りそな銀行)である。それぞれのメガバンクは傘下に、資産運用会社、証券会社、クレジットカード会社などを抱えており、一大金融グループになっている。

メガバンクを取り巻く環境は厳しさを増している。これは2016年から続く日銀の低金利政策で銀行の収益の柱である預貸金利の鞘(預金と貸付の金利差)が抜けなくなっていることに起因する。このように銀行をとりまく経営環境が悪化するなかで、銀行はさらなる変化に直面している。

みずほフィナンシャルグループの坂井辰史執行役社長は週刊東洋経済(2018年12月29日、2019年1月5日合併号)のなかで、金融機関は1)少子高齢化、2)グローバル化、3)急速な技術進歩によるデジタル化、という三つの変化に直面していると指摘し、これらの流れにどう対応し構造改革に取り組むかが求められていると述べている。

また三井住友フィナンシャルグループ社長の國部毅グループCEOも「銀行業界が非常に大きな環境変化の中にいることは紛れもない事実です。これまでの銀行の常識や文化はもはや通用しない」と指摘する(文藝春秋2018年11月号の記事、三井住友社長「将来は"情報銀行"を目指す」)。

このような銀行業界の大変革期を迎え、メガバンクに求められる人材も大きく変化しているようだ。例えば、2018年にみずほフィナンシャルグループは、新卒採用に当たって「みずほらしくない人に会いたい」とのスローガンを掲げた。

これはみずほFGが過去数年の自社内定者の個性を全業界の平均値と比較分析した結果、協調性や問題解決能力が高い半面、新しい発想や変化を生み出す想像力や変革力が低かったことが背景にある。逆に言えば、今後は新しい発想や変化を生み出す想像力に富んだ人材や変革力が強い人材が必要ということである。このような人材採用に対する考え方はみずほFGに限らず、他のメガバンクも同じで、いずれも新しいタイプの銀行員を採用したいと考えているのだ。

このようにメガバンクの採用スタンスが大きく変化するなかで、従来は内定をいち早く獲得していたような真面目なエリートタイプの学生は苦戦するかもしれない。一方でこれまで書類選考で落とされていた学生でもベンチャースピリットがある学生、フィンテックに強い学生(=デジタル人材)、グローバル志向の強い学生であれば、有名大学でなくても内定をゲットできるチャンスは大きいと思う。

メガバンクの募集職種は幅広い。個人向けではプライベートバンキング、審査(住宅ローンなど)、支店業務などがある。ただ従来型の支店についてはネットバンキングの浸透などで、支店そのものが収益を生まない銀行の「不良資産」になっており、今後はすべてのメガバンクで支店の大幅な削減が進むと見られる。

法人向けでは、法人営業、M&A、引受(株式、債券)、事業承継、融資、海外などがある。さらに将来は本部業務(経営企画、営業企画、グループ戦略、人事、広報、IR、法務、コンプライアンスなど)に加え、グループの証券会社やリース会社などに出向するケースもあるだろう。

2019年4月2日付の日本経済新聞によれば、三菱UFJ銀行は2020年4月入社の新卒採用数を530人程度とし、前年に比べ45%減らす方針を固めたという。また2019年4月の採用を半減したみずほFGもさらに2割程度減らし500人台半ばとする方向にあるという。三井住友銀行も1割減の600人を計画している。メガバンク志望者には頭の痛い情報ではあるが、これからの銀行を待ち受ける変革の時代にマッチする気概のある学生にとって活躍の場は限りなく大きい。

Copyright(C) JUE All Rights Reserved.
今回は総合商社を取り上げる。

総合商社はかつて1980年頃までは「ラーメンからミサイルまで」と称されたように幅広い商品を貿易などで仲介するトレーディングビジネスが主流だった。ところが、その後はメーカーが海外展開を本格化させたことで、メーカーと小売業の直接取引(中抜き)が進んだ。このため商社は事業会社や資源権益に投資をしてリターンを得る「事業投資」に注力することとなった。したがって現代の総合商社の事業モデルは、トレーディングと事業投資が二本柱になっている。

総合商社は、三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅が大手5社で、トヨタ系の豊田通商、双日、兼松などが続いている。総合商社の業績はきわめて好調で、直近の2019年3月期は各社ともに過去最高益が見込まれる。これは、①資源価格の上昇で資源分野(出資した鉱山からの持ち分法利益取り込みや配当など)の収益拡大、②非資源分野(食品・機械、化学など)の成長、の二つによるものである。上述した事業モデルの二本柱がともに伸びている格好である。

総合商社は空前の業績拡大期にあるが、数年前の2014年度から2015年度にかけて資源価格の急落で軒並み赤字決算を余儀なくされた。そこで各社は資源頼みの経営からの脱却を図るべく、力を注いできたのが非資源分野の拡大である。例えば、三菱商事はコンビニ大手のローソンを子会社化(2017年)、また伊藤忠商事はユニー・ファミリーマートホールディングスを子会社化(2018年)している。

総合商社はコンビニ以外でもEV(電気自動車)、AI(人口知能)、デジタル、金融、農業(アグリビジネス)、エンターテインメントなどの新規ビジネスを拡大する構えであり、新たなビジネスモデルの構築を目指している。

総合商社でのキャリアは俗にいう「背番号制」で決まる。すなわち、新人で配属されたのが繊維部門であれば、定年まで国内外の繊維部門のポストを異動する。私の学生時代の友人も大手総合商社に入社し、機械部門に配属された。それから30年以上経過したが一貫して機械部門であり、現在はインドネシアに赴任している。ただ最近は部門を異動させる事例や早い時期に子会社に移動させる事例もあるようだ。総合商社の人事制度は,「背番号制」から少しずつ柔軟な方向に変化しつつあるのかもしれない。

総合商社は平均給与が高く、洗練されたイメージが強いためか就活生からの人気が集まり、入社のハードルはかなり高い。とくに英語力は高いレベルが要求される。このため、学生時代からTOEICなどの準備はしておいた方がいいだろう。入社後4~5年でTOEIC700点以上ないと海外駐在ができず、人事考課にも影響があるからである。英語ができなくても商社で活躍している社員はもちろんいる。しかし海外でビジネスを行ってこその商社である。ぜひ英語力(もしくは英語以外の語学力)を磨いて海外で活躍して欲しい。

エントリーシートや面接などでは、単に「海外で大きな仕事がしたい」と強調するより、総合商社が注力する新規分野で働きたい点をアピールすると、他の就活生との差別化が図れるかもしれない。例えば、最先端の農業を勉強して「アグリビジネスをやりたい」、あるいは「金融ビジネスを拡大させたい」などである。

繰り返しになるが、総合商社に入社するのは難関である。しかしチャンスはある。学生時代に自分を磨き、成長した自分を信じてトライしてみよう。

Copyright(C) JUE All Rights Reserved.

今回は専門店を取り上げる。専門店は家具、アパレル、スポーツ用品、眼鏡・コンタクトレンズ、シューズ(靴)など多岐にわたる。2010年頃はイオンやイトーヨーカドーなどGMS(総合スーパー)が伸び悩み、「これからは専門店の時代だ」といった意見も多く聞かれた。それから10年近く経過した現在では、業績が好調な企業もあれはピークを打ったように見える企業もあって一概には捉えづらい。


しかしながら、総じて専門店業界で言えることは、1)海外展開を拡大している会社は業績の伸びが目立つ、2)国内市場はEC(インターネット通販:アマゾンや楽天、ZOZOTOWNなど)との競争が激化している、3)厳しい環境下においても業績拡大が続く専門店もある、などだろう。


本稿では専門店業界のなかから、業績好調な2社(ファーストリテイリング、ニトリ)を取り上げる。


ファーストリテイリングは2018年8月期に国内と海外のユニクロ事業がともに好調で過去最高の業績を達成した。売上高は2兆1,300億円(前期比14.4%増)、営業利益2,362億円(同33.9%増)である。とくに海外ユニクロ事業の伸びが顕著で、今2019年8月期は営業利益に占める海外ユニクロ事業の割合が国内ユニクロ事業を逆転する見通しである。


アジアを中心にユニクロの出店余地は大きく、ユニクロ海外事業は本格的な成長期に入ったばかりといっても過言ではないと考える。今や世界でのユニクロのブランドも確立された感もあって、同社の業績拡大基調はしばらく続くものと予想する。


ユニクロの新卒採用については事実上通年採用を実施しており、3月1日入社と9月1日入社がある。また同社の募集要項を見るとグローバル社員(世界に通用する実力を身につけグローバルで活躍したい人‐全国勤務(海外の可能性あり)と地域正社員(働く仲間とともに地域のお客様に貢献しながら長期的に活躍したい人。特定の地域に勤務)の2パターンの採用がある。


どちらを希望するにせよ、ファーストリテイリングのようなグローバルかつ高成長企業で働くことができれば将来的に自分の財産になると思う。ぜひチャレンジして欲しい。ちなみに同社の採用試験を受けるに当たっての必読書を3冊紹介しておく。ぜひ事前に読んで面接に臨んでいただきたい。


柳井 正(2003)「一勝九敗」新潮社
柳井 正(2009)「成功は一日で捨て去れ」新潮社
柳井 正(2012)「現実を視よ」PHP研究所


家具を中心にインテリア・生活雑貨に展開するニトリホールディングスも好調が続いている。2018年2月期は売上高5,720億円(前期比11.5%増)、営業利益933億円(同8.9%増)となり、創業50周年を31期連続増収増益で飾った。2019年2月期も順調に推移したので、32期連続増収増益を達成したものと思われる。


ニトリの強さは、製品開発に加え、製造、物流、販売まで全て自社で行っているため、コストコントロールが効きやすい点にある。加えて、商品開発力も高く、自社開発の冷感寝具「Nクール」や発熱素材を使った寝具「Nウォーム」の敷きパッドや毛布といった高機能商品が好調である。


私はアナリスト時代に決算説明会で似鳥昭雄社長(当時、現会長)の話を何度も聞いたことがある。話はとても面白く魅力にあふれるものだった。似鳥氏の話を楽しみにしていたアナリストは多かったと思う。同社に入社すれば、名経営者の似鳥さんとお会いして話すチャンスもあるだろう。それだけでもニトリに入社した意味があると考える。


ちなみに似鳥会長は週刊ダイヤモンド(2016年5月21日号、113ページ)のなかで今後は社員との交流にもっと時間を割いていきたいとしている。その記事を以下に紹介する。


---また「企業は人なり」ですから、人材育成のための指導や助言をもっとしていきたい。わが社は他社の4倍くらい社員1人に教育費を掛けていますが、もっと投資してもいい。社員がかわいくて仕方がないんです。数ある会社からわが社に入ってくれた人たちですから、「日本人の暮らしを豊かにする」という私のロマンとビジョンを共有して育っていってほしい---


同社の募集職種は総合職(店舗運営、法人営業、物流、商品企画、広告宣伝、他)である。ぜひ似鳥会長の薫陶を受けて活躍して欲しい。最後にニトリの採用試験を受けるに当たっての必読書を紹介しておきたい。


似鳥昭雄(2015)「運は創るもの」日本経済新聞出版社
2015年4月に日本経済新聞朝刊の「私の履歴書」に連載されたものをまとめた本である。連載当初から読者の大反響を呼んだ似鳥氏の波乱万丈の一代記である。これはもう私が解説するまでもない。ニトリ志望者はもちろん、小売業を志す学生諸君全員に読んでほしい一冊だ。

Copyright(C) JUE All Rights Reserved.
流通・小売業界の第三弾として百貨店を取り上げる。我が国の百貨店の総売上高は1991年に9兆7,130億円(日本百貨店協会)とピークを付けた後は長期低迷が続いている。直近の2017年は5兆9,532億円と2年連続の6兆円割れを余儀なくされた。ピーク時から40%近くの市場が縮小したのである。

ただし、ここにきての大手百貨店の動向を見ると、東京・大阪など大都市圏の店舗は富裕層の消費が堅調なことに加え、訪日外国人(インバウンド)需要もあって堅調に推移している。一方で、地方店は人口減少や消費不振の影響で苦戦が続いている。ここ数年で閉鎖に追い込まれた店舗も多い。このような百貨店の大都市店と地方店の二極化は今後も続くと思われる。

もう一点、近年の百貨店で触れておきたい点がある。それは、大手百貨店各社で不動産戦略に差があることである。J.フロントリテイリングは2017年4月に松屋銀座店の跡地を複合商業施設「GINZA SIX」としてオープン、百貨店ではなく不動産賃料収入で稼ぐビジネスモデルとした。また高島屋も2018年9月にオープンした日本橋の高島屋新館では賃料収入がメインとなっている。この2社は不動産事業の営業利益に占める割合が増えている。他方で三越伊勢丹ホールディングスは従来と変わらず自主編集売り場の割合が大きい。

このように百貨店大手が不動産ビジネスに力を入れているのは、かつての稼ぎ頭だった衣料品、とくに婦人服販売の低迷が続いているからである。詳細は省くが、この10年から15年の間、百貨店各社は経営統合をはさみながら自主編集売り場を拡大しながらアパレル販売の回復を目指してきた。しかしながら、なかなか結果が出なかったため、J.フロントリテイリングなどは不動産ビジネスに力を入れることになったのである。

以上をまとめると、百貨店の将来展望としては(1)大都市圏の店舗に集約される、(2)不動産ビジネスが今後も拡大する、の二点となろう。

百貨店の募集職種としては、販売やバイヤー(商品の仕入れを担当)、販売促進ないし販売支援、情報システムなどに加え、店舗開発や不動産に関連する業務などもある。高島屋にはデベロッパーの東神開発という不動産専門の会社もある。不動産業界志望の学生も百貨店で不動産ビジネスを希望するというのも可能だろう。

次に百貨店志望の学生諸君に読んで欲しい本を3冊紹介する。

「未完の流通革命」奥田務 (2014)日経BP
かつて大丸松坂屋の経営統合を主導し、初代J.フロントリテイリングの社長兼CEOとして辣腕を振るった奥田務氏による書である。奥田氏の入社以来の足跡をたどりながら、大丸およびJ.フロントリテイリングがいかにして成長していったのかが記してある。奥田氏の百貨店に対する深い愛情を感じさせる一冊だ。J.フロントリテイリング志望の学生にとっての必読書であり、またJ.フロント以外の百貨店志望を志望する学生もぜひ手に取って欲しい。

「百貨店の進化」伊藤元重(2019)日本経済新聞出版社
百貨店ビジネスを伊藤先生の幅広い切り口で分析した大変勉強になる本といえる。百貨店は江戸時代に創業し、今も生き残っている不思議な業態であるが、今後は「経営課題の中心の位置に情報技術を置くべき」と強調する。学生諸君は面接で「最近読んだ本は何ですか?」と聞かれることだろう。その際、「百貨店の進化」を読みましたと言って自分の感想を述べればよい。面接はまず間違いなく通過すると思われる。

「誰がアパレルを殺すのか」杉原淳一、染原睦美(2017)日経BP
この本はアパレルがなぜ不況に陥ったのかを詳しく分析した良書である。大丸松坂屋百貨店の好本社長や高島屋の木本社長のインタビューなども掲載されており中身が濃い。

本稿を書いている途中の2019年1月28日(月)のNHKの番組「プロフェショナル 仕事の流儀」で大丸の北海道物産展のカリスマバイヤーが取り上げられた。百貨店バイヤーの仕事の醍醐味に触れることができる素晴らしい番組だったと思う。百貨店はこれまでもそうであったように将来も必ず生き残る業態と考える。みなさんも百貨店で存分に実力を発揮していただきたい。

Copyright(C) JUE All Rights Reserved.

最近のコメント

アイテム

  • Aoki_160108_06.jpg
  • Aoki_160108_05.jpg
  • Aoki_160108_04.jpg
  • Aoki_160108_03.jpg
  • Aoki_160108_02.JPG
  • Aoki_160108_01.JPG
  • Aoki_IR_1222_02-2.jpg
  • Aoki_IR_1222_02-1.jpg
  • Aoki_IR_1222.jpg
  • blogimg_151201.jpg

facebook

facebook

カテゴリ

ウェブページ

Powered by Movable Type 5.01